韓国物価 昨日、韓国で進行しているスタグフレーションを食い止めるには法人税引き下げをユン氏が検討しているというニュースを紹介したが、今回はスタグフの原因となっているインフレ動向を追っていく。
管理人は韓国の物価上昇についてはわりと積極的に取り上げてるのだが、現時点で高インフレが収まる気配は感じられない。それと後で関連するガソリン・軽油価格についてもみていこう。
では、記事を整理していく。
■記事の要点
1.消費者物価指数の先行指標である生産者物価指数が先月にも歴代最高値を記録、消費者物価と期待インフレを刺激すると見込まれ、インフレの懸念がより大きくなっている。
2.20日、韓国銀行が発表した4月生産者物価指数は3月(116.70)より1.1%上昇した118.02(2015年=100)で4ヶ月連続上昇傾向を続けた。今年1月から統計編制以来4ヶ月目の歴代最高値を更新している。
3.先月物価上昇は原材料価格と上昇と公共料金の引き上げなどで、共産品、電力・ガス・水道及び廃棄物などが上がった影響が大きかった。3月(1.5%)に比べて上昇幅は多少縮小されたが、前年同月と比較しては9.2%上昇した。
4.電気・ガス・水道及び廃棄物指数(113.12)も上がり、3月比4.5%上昇した。柔軟炭、LNGなど主要電力生産燃料価格上昇傾向が電気料金に反映され、都市ガス価格が引き上げられたためだ。
5.農林水産品の場合、農産品が下落したが、畜産物(7.4%)と水産物(2.6%)が上がり、3月比2.0%上昇した。特に豚肉は3月に比べてなんと28.2%急騰し、アンチョビ(22%)、食用精油(11.8%)など品目も大きく上がった。
6.サービス指数(111.70)も運送サービス(1.2%)、飲食店及び宿泊サービス(0.6%)が上がり、3月比0.4%上昇して歴代最高値を記録した。
7.先月、消費者物価指数は1年前より4.8%上がり、2008年10月(4.8%)以降最大上昇幅を見せたが、生産者物価が上昇傾向を続けながら消費者物価上昇圧力も大きくなった。
以上の7つだ。順番に見ていこう。
まず、生産者物価指数が先月にも歴代最高値を記録したと。生産者物価指数というのは、説明を引用しておくが、生産者が国内市場に供給する商品やサービスなどの価格変動を示したもので、品目別に1~3ヶ月程度の視差を置いて消費者物価指数に反映される。
つまり、これを見ておけば今後の消費者物価の動向が予測できるわけだ。そして、それが歴代最高値を記録したのなら、当然、消費者物価指数はまだまだ高い上昇を持続することが予想される。それで、2と3が具体的な指数だ。
4月生産者物価指数は3月(116.70)より1.1%上昇した118.02(2015年=100)で4ヶ月連続上昇傾向と。指数というのはある年を基準(今回は2015年)を100にしたもので、それより、上がっていれば数値は大きくなり100以上、下がっていれば数値は100以下になる。
これでわかることは2015年の生産者物価指数がほぼ2割ほど上昇している。3月(1.5%)に比べて上昇幅は多少縮小されたが、前年同月と比較しては9.2%上昇したと。ここからは具体的に何が生産者物価指数を押し上げているのか。
3で、原材料価格と上昇と公共料金の引き上げなどで、共産品、電力・ガス・水道及び廃棄物などが上がった影響が大きかった。次に4が具体的な数値だ。
電気・ガス・水道及び廃棄物指数(113.12)も上がり、3月比4.5%上昇した。
韓国の電気代やガスなどの公共料金が安いというのは外資誘致に対する宣伝材料としてよく用いられるが、現在はそれが変わりつつあると。世界的な資源・原材料価格の高騰である。理由は言わなくてもわかるとおもうが、コロナ禍の脱出における需要増、ウクライナ戦争などが影響している。
そして、もう一つ問題なのは韓国電力公社(韓電)だ。韓国最大手の公企業である韓電が、今年の1〜3月だけで過去最大の8兆ウォンほどの赤字を出した。しかも、ムン君によって原材料価格が高騰しても電気料金の引き上げが抑えられている。また、「脱原発政策」により、比較的安い原発をより多く活用できず、赤字が大きくなった指摘もある。
つまり、これもレジェンド、ムン君の負の遺産だ。脱原発を叫んでいたら、電力公社が大ピンチとなっている。これでわかるのは、電気料金は過去最大の赤字を補うためにまだまだ上がるてことだ。
次に、5だが、畜産物と水産物が上がり、3月比2.0%上昇した。特に豚肉は3月に比べてなんと28.2%急騰し、アンチョビ(22%)、食用精油(11.8%)など品目も大きく上がった。
まず、食用精油の高騰は、食用油の輸出で世界最大のインドネシアが4月28日からパーム油やパームオレイン、廃食用油などを輸出禁止にした影響だ。ただ、最新ニュースだと、5月23日に禁輸解除とある。油断はできないが、これで価格は少しは落ち着くとみられる。
そして、気になるのは豚肉が28.2%も上がっている。これは飼料の高騰があげられる。豚を育てるにも餌が必要だ。そして、6だ。これが重要なのでもう一度、読んでおこう。
サービス指数(111.70)も運送サービス(1.2%)、飲食店及び宿泊サービス(0.6%)が上がり、3月比0.4%上昇して歴代最高値を記録した。
まず、これを見る限り、物流コストが増加。飲食店は値上げラッシュ。それが歴代最高値と。具体的な理由はこうなっている。
ソン・ジンシク韓銀物価統計チーム長は、「米州、中国路線の基本運賃、油流割増料などが引き上げられ、ピークシーズン日数が増え、国際航空旅客運賃が上昇した」とし、「レストランや宿泊サービスも食材価格が上がり、社会的距離置き解除で宿泊サービス需要などが増加した」と説明した。
うん。これは普通にその通りだと思われる。それと、少し細かいのだが、国内供給物価指数も見ておこう。
国内に供給される商品及びサービス価格変動を把握するための4月国内供給物価指数(124.98)も3月比2.3%上昇し、4ヶ月連続上昇。原材料(10.7%)、中間材(1.7%)、最終材(0.8%)など、各生産段階別にすべて上がった。
このように関連指数というのは1つが急上昇してれば、他の指数も確実に上昇している。重要なのは消費者物価指数、次に生産者物価指数、さらに供給物価指数といった順番だ。輸出が過去最大規模なので、原材料・中間財の輸入が増えただけではなく、購入する費用も増大した。
7については既に取り上げていることだ。それで、もう一つ重要なのはガソリン・軽油価格だ。
21日、韓国石油公社の有価情報サービスオフィネットによると、5月の第3週(5.15~19)全国ガソリンスタンドガソリン平均販売価格は前週より21.0ウォン上がったL(リットル)当たり1千963.6ウォンを示した。
今月1日から油流税引き下げ幅が20%から30%に拡大するにつれて、5月第1週のガソリン価格は前週より44.2ウォン下がったが、その後は2週連続の上昇を見せている。
韓国では高騰するガソリン価格に油類税を引き下げたわけだが、一時的にその効果はあっても、その後は上昇していると。今は軽油価格がガソリン価格より、高いわけだが、それが逆転する見通しがある。どちらにせよ。高騰したままだと物流コストが跳ね上がる。
以上。色々と見てきたが、結論は簡単だ。韓国の高インフレは今後も持続する可能性が高いてことだ。こうなってくると、韓銀は政策金利を0.5%、一気に引き上げてくるんじゃないかと管理人は予測している。
もちろん、アメリカの利上げ対抗としても有効だ。このまま米韓金利差の逆転は最悪なシナリオだからな。
消費者物価指数の先行指標である生産者物価指数が先月にも歴代最高値を記録、消費者物価と期待インフレを刺激すると見込まれ、インフレの懸念がより大きくなっている。生産者物価指数は、生産者が国内市場に供給する商品やサービスなどの価格変動を示したもので、品目別に1~3ヶ月程度の視差を置いて消費者物価指数に反映される。
20日、韓国銀行が発表した4月生産者物価指数は3月(116.70)より1.1%上昇した118.02(2015年=100)で4ヶ月連続上昇傾向を続けた。今年1月から統計編制以来4ヶ月目の歴代最高値を更新している。先月物価上昇は原材料価格と上昇と公共料金の引き上げなどで、共産品、電力・ガス・水道及び廃棄物などが上がった影響が大きかった。3月(1.5%)に比べて上昇幅は多少縮小されたが、前年同月と比較しては9.2%上昇した。
品目別に共産品指数(122.98)は第1次金属製品(2.6%)石炭及び石油製品(2.9%)などが上がり、3月比1.2%上昇して歴代最高値を記録した。ただし上昇幅は3月(2.7%)に比べて縮小した。
電気・ガス・水道及び廃棄物指数(113.12)も上がり、3月比4.5%上昇した。柔軟炭、LNGなど主要電力生産燃料価格上昇傾向が電気料金に反映され、都市ガス価格が引き上げられたためだ。
農林水産品の場合、農産品が下落したが、畜産物(7.4%)と水産物(2.6%)が上がり、3月比2.0%上昇した。特に豚肉は3月に比べてなんと28.2%急騰し、アンチョビ(22%)、食用精油(11.8%)など品目も大きく上がった。
サービス指数(111.70)も運送サービス(1.2%)、飲食店及び宿泊サービス(0.6%)が上がり、3月比0.4%上昇して歴代最高値を記録した。ソン・ジンシク韓銀物価統計チーム長は、「米州、中国路線の基本運賃、油流割増料などが引き上げられ、ピークシーズン日数が増え、国際航空旅客運賃が上昇した」とし、「レストランや宿泊サービスも食材価格が上がり、社会的距離置き解除で宿泊サービス需要などが増加した」と説明した。
国内に供給される商品及びサービス価格変動を把握するための4月国内供給物価指数(124.98)も3月比2.3%上昇し、4ヶ月連続上昇。原材料(10.7%)、中間材(1.7%)、最終材(0.8%)など、各生産段階別にすべて上がった。国内生産品の全般的な価格変動を把握するための総産出物価指数(120.28)も3月比1.4%上昇した。
先月、消費者物価指数は1年前より4.8%上がり、2008年10月(4.8%)以降最大上昇幅を見せたが、生産者物価が上昇傾向を続けながら消費者物価上昇圧力も大きくなった。
インフレが続くにつれて、韓銀が今月26日に開催される金融通貨委員会で基準金利を追加引き上げる可能性はさらに大きくなった。李昌勇韓銀総裁は去る16日、チュ・ギョンホ経済副首相との朝鮮会合後、「ビッグステップ(基準金利0.5%ポイント引き上げ)を完全に排除できると言うステップではない」とし「今後物価がどれだけ上がるかなどデータを総合的にと見ながら判断しなければならない」と明らかにしたことがある。
https://www.mk.co.kr/news/economy/view/2022/05/445644/
いつものように、希望的観測で物価上昇の見通しを4.2%としているが、ウォンニャスが止まらなければ、無理な話でしかない。6月はアメリカに付き合って0.5%上げたとして、7月にアメリカが再度0.5%上げた時に韓国が付き合えなければ、ウォンニャス⇒物価上昇は加速する。すでに、マーケットは、韓国には価値がないと判断し資金を回収しているし、需要や投資が拡大することはない。政府の対応が後手後手となれば、アジアのベネズエラ(韓国とは違い石油がある)になる将来しかない。