韓国経済、【1200ウォン到達から始まるウォンウォッチ】バリアオプション「KIKO」について解説

記事要約:今週、韓国市場は1195ウォンに到達して、来週で1200ウォンが目前となった。実際、1200ウォンは適正レートからすると50ウォンほどウォン安になっているわけだが、もう一つ重要な境目となる。それが今回、解説するバリアオプション「KIKO(キコ」である。正式名称はノックイン・オプション・ノックアウト・オプションなのだが、覚えるときはKIKOでいいい。

では、一体これが何なのか。そもそも、バリアオプションとは何か。簡単に述べれば一定期間までに、あらかじめ設定していた価格(バリア)に到達すると権利が発生もしくは消滅するオプションのことである。この時、権利が発生するほうを「ノックイン・オプション」、権利が消滅するほうを「ノックアウト・オプション」と呼んでいる。

さて、このKIKOについてだが、管理人は当時のメモ書きからKIKOについて解説しているのだが、2008年、朝鮮日報の記事のリンクは既に消えている。ただ、KIKOについて説明としてはこれがわかりやすいので引用しておく。

>Kikoは、特定期間(1-2年)に約定した為替レート幅でレートが推移すれば、市場価格よりも高くドルを売ることができるため、輸出企業にとって有利となるが、約定した為替レートを超えれば、契約の2-3倍に相当するドルを市場価格よりもはるかに安く銀行に売らなければならないため、損失が生ずる。 

>為替レートが1ドル=900ウォン台だった昨年下半期に銀行がKikoを大量に売ったものの、今年に入ってウォン安へと急激に移行したため、企業の被害額が拡大し、問題となっている。Kikoによる被害総額は少なくとも1兆ウォン(約900億円)以上とされている。 

さて、このKIKOについて当時は問題となったが、銀行がリスクについてしっかり説明していないということで、裁判ではわりと損失を被った側が銀行などに勝訴した記憶がある。そして、銀行は金融オプションのリスクについての説明責任が義務づけられた。

これは韓国経済ウォン、現在から20年分と10年分のチャートである。金融危機、リーマンショックが起きた後、1600ウォンを超えて韓国経済はデフォルトしかけたところを米韓通貨スワップ300億ドルで助けて貰えた。それからウォンが数年かけて、どんどん上がっているのがわかるだろう。そして、よく見ると上がっていった後は、「1200ウォン」をほとんど超えてないことに注目してもらいたい。

どうして、1200ウォンをほとんど超えていないのか。それがKIKOの損失レートであるためだ。ウォン安は確かに韓国の輸出業に恩恵になるが、そもそも、企業がKIKOのバリアオプションを利用しているなら、逆に急激な為替レートの変動は大きな損失が発生する。そして、ウォンの2011年~2018年までは、1000~1200と安定していた。2016年に一時的に1200を超えたこともあるが、それは僅かな期間に過ぎない。

つまり、1200という数値は韓国にとって死守したいウォンレートだということ。そして、ここ数年間ウォンは安定していたと考えれば、KIKOのレートをこの辺りに設定している韓国企業は多いと思われる。これ以上のウォン安はKIKOの条件を発動させてしまう。さらにウォン安によって原材料や原油価格が上がっていく。

なので、ただ単に1200、1250と下がって行くだけではない。KIKOの条件レートを大きく上回れば上回るほどKIKOでの損失が発生する。ただ、これについては韓国メディアもまだ取り上げてないので、どこまで損失が発生するかは未知数だ。およそ10年前の情報はあてにならない。おそらく1200ウォン超えたら、こういった記事が登場してくると思われる。

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