韓国物流危機 貨物連帯ストライキ 半導体原料業者を封鎖方針ｰ社員が完成車を運び、化学工場は稼働停止直前 

韓国物流危機 これはちょっと取り上げておかないとダメだろうという管理人の直感が働いたので、先週から起きている貨物連帯ストライキについて特集していく。

サイトの読者さん、昨年の尿素水不足からの視聴者さんは、管理人が尿素水不足で物流混乱のときに「貨物連帯スト」を一度だけ取り上げたことを覚えているかもしれない。

あの時はセメント業界に大きく影響を及ぼしたが、今回はなんと主力の「半導体」や「自動車」など他の業種にも大打撃を与えている。というより、そういう風にゼネストが動いている。ゼネストでの被害を最大限に拡大しようという動きだ。

こういう足の引っ張り合いをさせれば韓国人は素晴らしい才能を発揮する。何しろストライキを行っても給料が出るからな。しかも、ゼネストが長期化する可能性があるという。まずは概要を説明しておこうか。7日の聯合ニュースからだ。

韓国の労働組合の全国組織・全国民主労働組合総連盟（民主労総）公共運輸労組の貨物連帯本部は期限付きで導入された「安全運賃制」の継続などを求め、7日から無期限のストライキに突入した。

同連帯はトラック運転手らの組合員約2万5000人の大多数がストに参加し、多くの非組合員もストに加わるとみている。 安全運転制は運転手の適正な賃金を保障し、過労や過積載、速度違反などを防止するため導入された。交通安全を守るために必要な運賃を支給しない荷主に過料を科す。2020年に導入され、今年いっぱいで廃止される予定だ。

それで、今回は2つの関連記事を見ていく。まずは半導体からだ。コリア･デイリー･エコノミクスからであるが、記事が非常に長いのでいつものように要点を整理しよう。

■記事の要点

1．ゼネストを行っている全国民主労働組合総連盟の公共運輸労組貨物連帯本部が9日、半導体原料生産施設を封鎖する方針を立てた。

2．前日の完成車の物流封鎖に続き、今回は、半導体物流まで阻止すると乗り出したのだ。半導体の供給支障だけでなく、価格急騰も憂慮される。

3．「サムスン半導体への打撃を目的に、半導体原料業者であるLS日鋼銅製錬、高麗亜鉛に集中する」という指針を現場組合員らに送った。それと共に「自動車および半導体二元化闘争をする予定」と話した。ストライキ効果を極大化するために核心事業である自動車と半導体を狙ったものだ。

4．労働界関係者は「貨物連帯は、半導体産業と関連した全国施設を封鎖する方針」とし、「長い運送経験を通じて、どの物品がどこに入るのか隅々まで知っているだけに物流に深刻な打撃を与えかねない」と話した。

5．業界関係者は「コロナとウクライナ事態などを経て半導体企業等も原材料供給網を多角化するために持続的に努力してきた」として「直ちに生産ラインが止まる極端な状況が生じる可能性は高くない」と話した。

6．しかし、ストライキ期間が長くなれば、生産支障と価格引き上げが避けられないものと見られる。メモリー半導体は、需要と供給によって取引価格が決定されるが、ファウンドリー(半導体受託生産)製品は、原材料価格などを反映して価格が形成されるためだ。

7．完成車の配送（託送）も全面中止となった。起亜自動車は、ナンバープレートも発給されていない完成車を職員が直接運転して移したりもした。

8．鉄鋼運送への支障も広がっている。ポスコ浦項製鉄所は、3日連続で1日の物流量約4万9000トンのうち半分ほど出荷できず、現代製鉄浦項工場では、1日の出荷量9000トンの物量が出られずにいる。

9．首都圏物流拠点の物流量はすでに底をついている。今年水曜日の1日平均搬出入量は4436TEU（1TEU=20フィートコンテナ1個）規模だったが、6月8日の搬出入量は392TEUにとどまった。韓国最大の貿易港である釜山港も、1日コンテナ搬出入量が大幅に減った。

以上の9つだ。多いと思うかもしれないが、これでもかなり絞った方だ。では、順番に見ていく。

1はそのままだが、ゼネストで最大限の被害を与えるために自動車だけではなく、半導体も狙うことにしたと。

ストライキの理由は概要に掲載してあるが、「賃金アップと労働者の特権の向上」が主な理由だ。後、コロナ禍で特例だった例の「安全運賃制」という条件もある。時給アップに繋がったので特例ではなく日常的に採用しろという要求である。

それで、どうして管理人が韓国には毎日のようにストライキが起きているのを無視して、貨物連帯ストライキのみを取り上げてるのか。一言で物流がストップすることは、昨年の10月にあった尿素水不足のときと同じで、韓国経済に与える影響が計り知れないからだ。

何しろ､陸の物流を支配している彼らは他業種の弱点を知り尽くしている。どこにどんな素材や原料が運ばれて､それがなければ工場生産に支障が出ることを、普段の仕事から手に取るようにわかるのだ。まさに韓国企業にとって敵に回せば「最凶の敵」である。

しかも、今回は7日から無期限だ。既に4日目でここまで大きな影響が出るなら、特集する価値が十分ある。シリーズ化してもいいのだが、今、ウォン動向や韓国経済全体の動向も熱いからな。長期化するならシリーズ化は決定だろう。

それで、2だが、自動車に続き､半導体封鎖も行い始めたと。つまり、半導体の供給が減って、価格が高騰する恐れが出てきた。韓国の稼ぎ頭の半導体産業に大ダメージを与えれば、自分らにも返ってきそうだが、そんなことはおかまいなしだ。管理人は経済的な視点で見ていくので、韓国人の倫理観とかは知らない。

次に3はサムスンの半導体を狙い撃ちにするために、半導体原料業者であるLS日鋼銅製錬、高麗亜鉛に集中すると指令を出したと。原材料が届かないなら、当然､半導体の生産はストップする。そして、4が一番重要だ。

労働界関係者は「貨物連帯は、半導体産業と関連した全国施設を封鎖する方針」とし、「長い運送経験を通じて、どの物品がどこに入るのか隅々まで知っているだけに物流に深刻な打撃を与えかねない」と話した。

まさにこれだ。一番効果的に相手にダメージを与える方法を知り尽くしている。いくら部品をストに備えてある程度、確保したとしても、長期化すればどうしようもない。しかも、韓国の労働基準法では､ストライキに参加している労働者の別の職種を一時雇用などはできない。

ただ、これには抜け穴があって、ストライキに参加しない同じ業種からの雇用はできるのだ。もっとも、組合員約2万5000人の大多数がストに参加して、さらに非組合員も参加するなら、誰が荷物を運ぶんだということになる。もちろん、社員が運んだりするわけだが。

それで、5は業界関係者は、半導体は多角化してきたので、直ちに生産ラインが止まる極端な状況が生じる可能性は高くないと。でも、自動車分野では、すでにセメント供給が滞り､レミコン工場が停止しているそうだ。というより、関連記事がいくつもあって追うのが難しい。

6と7はそのままだ。長期化したら半導体価格が急騰すると。完成車は社員が運びましたと。そして、8は鉄鋼運送にも被害が生じている。半分しか出荷できなくなった。次に9だが、首都圏物流拠点の物流量はすでに底をついていると。これによって飲食店が「焼酎」が届かないなどの被害を受けている。他にも水素ステーションが開店休業状態。ガソリンスタンドの一部ではガソリンの在庫も減っている。

さて、被害についてはわかったとおもうので、ここからは別記事で、貨物連帯ストの韓国政府側の対応を見ていく。政府は警察を総動員してストライキの被害を防ごうと必死だが、直接介入は行っていない。

警察は貨物連帯がストを始めた７日からこの日午前７時まで業務妨害など容疑で組合員３０人を逮捕した。国土交通部によると、貨物連帯の組合員およそ４２００人が前日からこの日未明まで各地で徹夜待機してストを続けた。国土部はこれを含めて組合員全体（約２万２０００人）の３５％にあたる約７８００人がこの日、ストに参加したと推算した。

もう、組合員全体の35％に当たる7800人がストライキ参加か。逮捕者は300人と。それで、ユン氏の見解はどうなのか。

政府は直接介入より労使の自律で解決すべきという原則を守っている。尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領はこの日午前、龍山（ヨンサン）執務室に出勤する際、記者らに対し「労使問題には政府が法と原則、中立性を持つべきだ」とし「これまでの政府の介入が労使関係と文化を形成するのに望ましかったのか疑問が多い」と述べた。

ああ、これは甘ちゃんですね。ユン氏、何もわかってないな。いいかね。原則を守るなんて行為をすればするほど、労働貴族に舐められるのだ。これでストは長期化必至じゃないか。管理人はそんな甘いことより、もっと厳しく取り締まるべきであって、さっさと労働法を変えてしまえと。今の政府は労組のバックアップは少ないからな。

李正植（イ・ジョンシク）雇用労働部長官も「生産・物流支障など関連動向を綿密に把握し、政府全体レベルでの対応を後押しする」と述べた。続いて「新型コロナが完全に終わる前に貨物連帯が集団運送拒否をし、韓国経済に負担を与えている状況」とし「労使対立は自律原則に基づいて対話と妥協を通じて解決するものの。不法行為には厳正に対応しなければいけない」と話した。

だそうです。本当、甘ちゃん回答ですね。ユン政権は甘ちゃん揃いてことですか。でも、後、数日もすれば態度を豹変させるんだろう？長期化するなら、韓国経済に与える影響を把握できるなんてまったくの嘘だからな。

でも、政府は高いインフレ以外にも､韓国経済危機を引き起こす理由が「韓国内部」から勃発するとは思ってなかったかもな。甘ちゃんだもんな。こんな対応なら長期化してシリーズ化しそうだなあ。6月も赤字貿易で、ウクライナガー、中国ガーに､日本の円安ガーに続いて、貨物ストガーとか言い訳するんだろうか。

ゼネストを行っている全国民主労働組合総連盟の公共運輸労組貨物連帯本部が9日、半導体原料生産施設を封鎖する方針を立てたことが分かった。

前日の完成車の物流封鎖に続き、今回は、半導体物流まで阻止すると乗り出したのだ。半導体の供給支障だけでなく、価格急騰も憂慮される。

韓国経済新聞が入手した「貨物連帯」の内部指針によると、貨物連帯蔚山本部はこの日、「サムスン半導体への打撃を目的に、半導体原料業者であるLS日鋼銅製錬、高麗亜鉛に集中する」という指針を現場組合員らに送った。それと共に「自動車および半導体二元化闘争をする予定」と話した。ストライキ効果を極大化するために核心事業である自動車と半導体を狙ったものだ。

LS日鋼銅製錬と高麗亜鉛は、蔚山地域の施設でサムスン電子に納品する半導体用高純度硫酸（PSA）を生産している。硫酸は、半導体用シリコンウエハーを洗浄するのに使われる必須原料だ。硫酸供給に支障が生じれば、半導体生産に大きな問題が発生する。

蔚山以外の半導体関連施設も、ターゲットになる可能性がある。労働界関係者は「貨物連帯は、半導体産業と関連した全国施設を封鎖する方針」とし、「長い運送経験を通じて、どの物品がどこに入るのか隅々まで知っているだけに物流に深刻な打撃を与えかねない」と話した。 業界では、半導体関連部品の供給に問題が生じれば、ファウンドリー(半導体受託生産)価格が急騰するものと予想している。

前日、直接打撃対象になった現代自動車の被害も現実化した。 同日午前現在、現代自動車の△部品△鉄鋼△託送△フォワーディング（船積み）分野に投入される6000台あまりの車両のうち、4分の1水準の1500台程度だけが正常運行中であることが分かった。韓国自動車産業協同組合はこの日、立場文を通じて「貨物連帯は切迫した生存の状況に追い込まれた部品業界従事者のために運送中断を直ちに撤回してほしい」と訴えた。

全国民主労働組合総連盟貨物連帯が3日間ストを続け、全国各地で物流支障が生じた。業界では、被害を受ける業種がさらに増えるものと見ている。貨物連帯は、半導体原料生産施設の封鎖を新しい目標に掲げている。

9日、業界によると、貨物連帯がターゲットにした製品は、高純度硫酸(PSA)だ。国内最大の亜鉛と銅製錬会社である高麗亜鉛とLS日鋼銅製錬は、製品工程過程の副産物として硫酸を生産している。貨物連帯蔚山本部の組合員たちは、この日午後1時30分頃、高麗亜鉛とLS日鋼銅製錬蔚山工場前で物流封鎖の試みに乗り出したが、警察兵力が投入され30分余りで撤収した。両社は、貨物連帯の追加封鎖に備えて蔚山工場と随時疎通し、事態の推移に神経を尖らせている。

業界関係者は「コロナとウクライナ事態などを経て半導体企業等も原材料供給網を多角化するために持続的に努力してきた」として「直ちに生産ラインが止まる極端な状況が生じる可能性は高くない」と話した。

しかし、ストライキ期間が長くなれば、生産支障と価格引き上げが避けられないものと見られる。メモリー半導体は、需要と供給によって取引価格が決定されるが、ファウンドリー(半導体受託生産)製品は、原材料価格などを反映して価格が形成されるためだ。ある半導体企業役員は「原料供給に問題が生じれば結局価格引き上げが伴うほかはない」として「ファウンドリー製品価格上昇は他の家電、スマートフォン、サーバー業者にまで影響を及ぼしかねない」と話した。

完成車の配送（託送）も全面中止となった。起亜自動車は、ナンバープレートも発給されていない完成車を職員が直接運転して移したりもした。部品メーカーにも飛び火した。韓国自動車産業協同組合は、この日発表した要請文で「部品メーカーの供給を阻み、取り返しのつかない被害を受けている」とし、「切迫した生存の状況に追い込まれた部品業界従事者のためにも運送中断を撤回してほしい」と要請した。

鉄鋼運送への支障も広がっている。ポスコ浦項製鉄所は、3日連続で1日の物流量約4万9000トンのうち半分ほど出荷できず、現代製鉄浦項工場では、1日の出荷量9000トンの物量が出られずにいる。業界関係者は「全国物流網が事実上マヒし、一方では生産品を運送できず在庫が積もり、もう一方では生産品を受け取れず在庫不足で地団太を踏む事態が起きている」と話した。

首都圏物流拠点の物流量はすでに底をついている。京畿道儀旺（ウィワン）内陸コンテナ基地（ICD）によると、今年水曜日の1日平均搬出入量は4436TEU（1TEU=20フィートコンテナ1個）規模だったが、6月8日の搬出入量は392TEUにとどまった。韓国最大の貿易港である釜山港も、1日コンテナ搬出入量が大幅に減った。前日午後5時から同日午前10時までのコンテナ搬出入量は、1万1628TEUで、5月の同時間帯搬出入量の30%水準だ。

https://www.kedglobal.com/jp/%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%8A%B4%E7%B7%8F-%E5%8D%8A%E5%B0%8E%E4%BD%93%E6%96%BD%E8%A8%AD-%E5%B0%81%E9%8E%96/newsView/ked202206090025

◆釜山・光陽など主要物流拠点の物流量が急減

釜山（プサン）と光陽（クァンヤン）など全国主流物流拠点の物流量も大幅に減少している。９日午後現在、釜山港のターミナル１０カ所のコンテナ搬出入量は６３３６ＴＥＵ（１ＴＥＵは２０フィートコンテナ１個）と普段の２９．３％で、儀旺（ウィワン）内陸コンテナ基地（ＩＣＤ）の搬出入量は８．３％水準の４０３ＴＥＵにすぎなかった。貨物連帯ストの４日目、鉄鋼製品４万５０００トンを出荷できないポスコ光陽製鉄所は、緊急な物量を鉄道や船舶で輸送している。

自営業者と中小企業の被害も現実になっている。この日午後、官公庁と事務室が密集する大田市西区屯山洞（ドゥンサンドン）の飲食街では空になった冷蔵庫が目立った。貨物連帯のストでハイト真露清酒工場の製品出庫率が普段の４０％ほどに落ちたからだ。大田西区で飲食店を経営するイムさん（５４）は「ストで焼酎が十分に供給されず、自営業者が被害を受けている」と訴えた。

大田都市公社が市内バスに水素を供給するために運営する水素ステーション３カ所も４日前から開店休業状態だ。水素を供給する忠清南道瑞山（ソサン）の大山（デサン）産業団地工場で出荷が全面中断したからだ。貨物連帯の組合員は７日から大山産業団地の外部搬出を封じている。全羅南道の一部のガソリンスタンドでは在庫が減り、事業主が営業停止を心配している。ガソリンスタンドの関係者は「ガソリンの追加供給がなければ、車両だけでなく周辺工場にも被害が及ぶだろう」と話した。

一方、警察は貨物連帯がストを始めた７日からこの日午前７時まで業務妨害など容疑で組合員３０人を逮捕した。国土交通部によると、貨物連帯の組合員およそ４２００人が前日からこの日未明まで各地で徹夜待機してストを続けた。国土部はこれを含めて組合員全体（約２万２０００人）の３５％にあたる約７８００人がこの日、ストに参加したと推算した。

政府は直接介入より労使の自律で解決すべきという原則を守っている。尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領はこの日午前、龍山（ヨンサン）執務室に出勤する際、記者らに対し「労使問題には政府が法と原則、中立性を持つべきだ」とし「これまでの政府の介入が労使関係と文化を形成するのに望ましかったのか疑問が多い」と述べた。

李正植（イ・ジョンシク）雇用労働部長官も「生産・物流支障など関連動向を綿密に把握し、政府全体レベルでの対応を後押しする」と述べた。続いて「新型コロナが完全に終わる前に貨物連帯が集団運送拒否をし、韓国経済に負担を与えている状況」とし「労使対立は自律原則に基づいて対話と妥協を通じて解決するものの。不法行為には厳正に対応しなければいけない」と話した。

https://japanese.joins.com/JArticle/292018?servcode=300&sectcode=300