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韓国貿易 韓国、今年158億ドルの貿易赤字予想…金融危機当時より深刻なのに米金利が大幅上昇か

韓国貿易 昨日で2022年の5月も終わり、今日は6月となるわけだが、韓国経済危機は深刻化している。韓国経済を視る上で重要な要素は3つあることはいつも述べているが、そろそろ覚えてきただろうか。「貿易」「投資」「雇用」の3つだ。これら3つがどのように動いているかを俯瞰することで、韓国経済に置かれている状況をまともに分析できる。

しかし、最近は4つめ「米利上げの行方」を加えていいかもしれない。

そして、今回は貿易だ。なんと、韓国の今年の貿易収支が2008年の米国発金融危機当時よりも大きな赤字、158億ドルを出すという政府系シンクタンクが予想が出てきた。貿易で食べている国が158億ドルの巨額赤字。これの問題が何なのか。記事を整理してから解説しよう。

■記事の要点

1.「最近の貿易赤字は一時的」とする韓国政府の予想を覆す分析だ。貿易収支が赤字を記録すると予想され「双子の赤字」に対する懸念も再び大きくなっている。

2.今年の貿易収支が158億ドルの赤字を出すだろうと予想した。過去最大の貿易赤字を出したのは通貨危機直前の1996年の206億ドルだった。

3.産業研究院は今年の輸出額が7038億ドルと初めて7000億ドルを突破し、1年前より9.2%増加するが、ロシアのウクライナ侵攻と中国の封鎖措置などで増加率が大きく減ると予想した。だが輸入額は7196億ドルで、原材料・穀物など1次産品と中間財価格上昇により1年前と比較して17.0%と大幅に増え輸出額を上回ると予想した。

4.今年の貿易収支を赤字と予想するのはそれだけ最近の原材料価格上昇傾向が深刻だという意味だ。韓国は原材料を外国から仕入れてこれを再加工して販売する中間財産業が多く、特別な状況がなければ1年単位で貿易赤字を見ることはない。

5.特に過去の物価上昇は主に原油価格に限定されたが、最近ではエネルギーだけでなく鉱物など原材料・副材料全般に拡大していることが貿易収支悪化をさらに深めたと分析される。

6.最近高止まりが続く国際原油価格は下半期にさらに上がるものと予想した。輸入額負担を増やすウォン安傾向も下半期に続くものと産業研究院は予想した。産業研究院は今年のウォン相場を1ドル=1250ウォン前後と予想した。

7.産業研究院が予想した今年の貿易赤字幅は経常収支全体を赤字に回すほど大きくはない。ただ経常収支は貿易収支に左右される傾向が大きく、貿易赤字幅が下半期に予想より拡大するならば経常収支も赤字に転落しかねない。

以上の7つだ。順番に見ていく。

今回の記事は政府系シンクタンクが予想する今年の韓国貿易についてだ。1だが、「最近の貿易赤字は一時的」とする韓国政府の予想を覆す分析とあるが、あんな最初から荒唐無稽な楽観論だった韓国政府の予想が当たるはずないという。管理人はその楽観論を瞬時に一蹴したからな。双子赤字については後で詳しく見ていく。

次に2は、今年の貿易収支が158億ドルの赤字を出すだろうと予想した。リーマン時が133億ドル。アジア通貨危機が206億ドル。だから、今年の赤字がリーマン時を超える予想である。

韓国は貿易で成り立っている国なので、1年で貿易赤字になるというのは非常に不味い。なぜなら、韓国の信用格付けが下がる恐れがある。1年通して赤字の国が高い格付けを維持するのは難しいからだ。そこは格付け機関への接待でなんとかするかもしれないが。

次に3だが、今年の輸出額が7038億ドルと初めて7000億ドルを突破し、1年前より9.2%増加する。これは一時的なコロナ禍から回復における需要増のためだ。

前回の動画で輸出の金額は原材料やエネルギー価格の高騰で拡大したが、輸出量は増えてないことを指摘した。ウクライナ戦争は継続しているが、中国の上海封鎖などは6月に解除されるようだ。これは韓国経済にとっては朗報だ。

輸入額は7196億ドルで、原材料・穀物など1次産品と中間財価格上昇により1年前と比較して17.0%と大幅に増え輸出額を上回ると予想した。輸出より、輸入が増えると。理由は組み立てる前の中間財の値上がり。原材料などの高騰と。

さて、4は韓国経済の大きな特徴だ。これは大事なのでもう一度、読んでおく。

今年の貿易収支を赤字と予想するのはそれだけ最近の原材料価格上昇傾向が深刻だという意味だ。韓国は原材料を外国から仕入れてこれを再加工して販売する中間財産業が多く、特別な状況がなければ1年単位で貿易赤字を見ることはない。

韓国は組み立て工場なので、中間財を輸入して、それを製品にして出荷する。だから、それらの価格は製品に上乗せされるから、1年単位なら貿易赤字にはなりにくい。実際に2000年代に入り韓国が年間で貿易赤字を記録したのは外部から経済衝撃があった2008年が唯一という。つまり、リーマン時だけだ。

それで、5は過去の物価上昇は原油価格のみだったが、今年は原油以外でも多くの原材料も上がっていると。これが今までの危機時と違うところだ。そして、6の予想が中々興味深い。

最近高止まりが続く国際原油価格は下半期にさらに上がるものと予想した。産業研究院は今年のウォン相場を1ドル=1250ウォン前後と予想した。

なんと、原油価格は今年の下半期はさらに上がる予想。ウォンレートは1250ウォン前後だと。これが現実になるなら、韓国貿易は相当苦しいものになる。1200ウォンより下げているだけで、ずっとボディブローを受けているような状態だ。

1250ウォンが継続ともなれば、そのダメージは深刻化する。因みに5月末における数日間、怒濤の介入ラッシュで1270から1237ウォンまであげたが、朝には1242ウォンまで下げている。市場がウォンレートをどのように判断するかが6月の動きで見えてくるだろう。

最後の7は双子の赤字についてだ。経常収支と財政収支が赤字となる「双子の赤字」の懸念も再び大きくなっていると。財政収支が悪化するのはユン氏のバラマキである。それを続けて、貿易収支も赤字に転落するなら、経常収支も赤字に転落すると。

物価上昇の圧力もあるのに、60兆ウォン規模の追加補正予算。現金だけで26兆ウォン。それらのバラマキが財政収支を悪化させると。今年はこれができても、もう、来年はできないだろうな。もちろん、来年の方が酷くなるのは容易に予想できる。

物価上昇5%台がこれから3ヶ月間は継続する見通しだ。つまり、まだまだ値上げが続く。そこに政策金利の上昇で借金増。元本・利払いの凍結解除は9月末。自営業は自転車操業で爆増した借金を返せるほどこの夏と秋で稼げるか。ほとんど稼げないだろうな。

すでに財政収支は新型コロナウイルス支援対策で今年4年連続の赤字が確実視される。もし今年双子の赤字となるならば通貨危機を体験した1997年から25年ぶりとなる。

そして、双子の赤字となれば、通貨危機時の再来だ。つまり、今の韓国経済の状況を俯瞰的に分析すれば、リーマン時、もしくはリーマン以上の経済危機が深刻化しているてことだ。しかし、リーマンやアジア通貨危機と違うのは「米国の利上げ」イベントである。

これが最初に述べた韓国経済を視る上で3つの要素とは違い、今回だけ追加された特徴となる。だから、6月のウォン市場もこれに振り回される。6月16日だったかな。FOMCがある。さらに、その前に5月の米消費者物価指数が発表される。

では、最新の米利上げ情報を見ておこう。日経新聞の記事を一部引用する。

【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は30日の講演で、通常の倍となる0.5%の利上げについて「2%の物価目標に近づくまで選択肢から排除しない」と述べた。労働市場を大きく悪化させずにインフレを抑制する軟着陸(ソフトランディング)は可能だと説明し、当面は利上げを急ぐ考えを強調した。

FRBは5月3~4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で22年ぶりとなる0.5%の利上げに踏み切った。パウエル議長の発言やその後公表された議事要旨によって、市場は0.5%の利上げを6、7月の会合でも実施すると織り込んでいる。その次の9月会合でも大幅利上げを続けるかどうかが焦点となっている。

フランクフルトで講演したウォラー氏は「今後数回の会合で0.5%の利上げを支持する」と説明したうえで、物価目標に近づかない場合は利上げ幅を0.25%に戻すべきではないという考えを示した。

6月上旬に公表される雇用統計や消費者物価指数(CPI)でインフレの強さが示されれば「より多くのことをする準備がある」とも述べた。

正直、管理人はアメリカ経済については素人なので、どのように利上げが動くかはニュースの専門家の意見を参考にして予測するような範疇でしかない。そして、重要なのは市場は0.5%の利上げを6、7月の会合でも実施すると織り込んでいる。さらに、9月会合でも大幅利上げを続けるかどうかが焦点となっている。

つまり、いくら1242ウォンまであげたところで、6月もウォン安になる材料はいくらでもあるてことだ。米韓金利差の逆転が確実に迫っている。正直、9月がどうなるかは今後のインフレ次第だ。それを見る上で、6月上旬に公表される雇用統計や消費者物価指数が重要と。

韓国の今年の貿易収支が2008年の米国発金融危機当時よりも大きな赤字を記録するだろうという政府系シンクタンクの見通しが出てきた。「最近の貿易赤字は一時的」とする韓国政府の予想を覆す分析だ。貿易収支が赤字を記録すると予想され「双子の赤字」に対する懸念も再び大きくなっている。

産業研究院は30日、「下半期経済産業見通し」で今年の貿易収支が158億ドルの赤字を出すだろうと予想した。研究院の予想通りならば米国発の金融危機があった2008年の133億ドルよりも赤字幅が大きくなる。過去最大の貿易赤字を出したのは通貨危機直前の1996年の206億ドルだった。

産業研究院は昨年11月の見通しでは今年の貿易収支が2021年の293億ドルの黒字より黒字幅がむしろ小幅に増え325億ドルの黒字と予想した。だが6カ月ぶりに予想数値を大幅に引き下げた。公共機関のうち最近今年の貿易収支見通しを出したのは産業研究院が唯一だ。

産業研究院は今年の輸出額が7038億ドルと初めて7000億ドルを突破し、1年前より9.2%増加するが、ロシアのウクライナ侵攻と中国の封鎖措置などで増加率が大きく減ると予想した。だが輸入額は7196億ドルで、原材料・穀物など1次産品と中間財価格上昇により1年前と比較して17.0%と大幅に増え輸出額を上回ると予想した。

今年の貿易収支を赤字と予想するのはそれだけ最近の原材料価格上昇傾向が深刻だという意味だ。韓国は原材料を外国から仕入れてこれを再加工して販売する中間財産業が多く、特別な状況がなければ1年単位で貿易赤字を見ることはない。実際に2000年代に入り韓国が年間で貿易赤字を記録したのは外部から経済衝撃があった2008年が唯一だ。

特に過去の物価上昇は主に原油価格に限定されたが、最近ではエネルギーだけでなく鉱物など原材料・副材料全般に拡大していることが貿易収支悪化をさらに深めたと分析される。産業研究院のキム・バウ専門研究員は「過去2011年にも国際原油価格が急騰したことがあるが、最近のように原油価格だけでなく原材料全般の価格が上がったことはなかった」と説明した。

最近高止まりが続く国際原油価格は下半期にさらに上がるものと予想した。輸入額負担を増やすウォン安傾向も下半期に続くものと産業研究院は予想した。産業研究院は今年のウォン相場を1ドル=1250ウォン前後と予想した。

貿易収支だけでなくマクロ経済主要指標もほとんどが下方修正された。産業研究院は昨年11月に2.9%と予想した今年の経済成長率を今回の発表で2.6%に引き下げた。ただし民間消費は3.2%から3.3%と前回の見通しより小幅に上げた。

有力国策機関が今年の貿易赤字を予想し、経常収支と財政収支が赤字となる「双子の赤字」の懸念も再び大きくなっている。経常収支は輸出入だけでなくサービス、第一次所得収支まで含む。産業研究院が予想した今年の貿易赤字幅は経常収支全体を赤字に回すほど大きくはない。ただ経常収支は貿易収支に左右される傾向が大きく、貿易赤字幅が下半期に予想より拡大するならば経常収支も赤字に転落しかねない。

すでに財政収支は新型コロナウイルス支援対策で今年4年連続の赤字が確実視される。もし今年双子の赤字となるならば通貨危機を体験した1997年から25年ぶりとなる。

https://japanese.joins.com/JArticle/291631?servcode=300&sectcode=300

【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は30日の講演で、通常の倍となる0.5%の利上げについて「2%の物価目標に近づくまで選択肢から排除しない」と述べた。労働市場を大きく悪化させずにインフレを抑制する軟着陸(ソフトランディング)は可能だと説明し、当面は利上げを急ぐ考えを強調した。

FRBは5月3~4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で22年ぶりとなる0.5%の利上げに踏み切った。パウエル議長の発言やその後公表された議事要旨によって、市場は0.5%の利上げを6、7月の会合でも実施すると織り込んでいる。その次の9月会合でも大幅利上げを続けるかどうかが焦点となっている。

フランクフルトで講演したウォラー氏は「今後数回の会合で0.5%の利上げを支持する」と説明したうえで、物価目標に近づかない場合は利上げ幅を0.25%に戻すべきではないという考えを示した。

6月上旬に公表される雇用統計や消費者物価指数(CPI)でインフレの強さが示されれば「より多くのことをする準備がある」とも述べた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30CCM0Q2A530C2000000/
zinboruto:

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  • 今年の実績から予想しても、貿易赤字は過去最高の250億ドル前後になるのでは?メモリーの需要は横ばい~下降しており、価格は低下する予想であり、穀物価格が正常化するには、3~4年はかかるだろうし、原油やそのたの原材料も年内に下がる傾向にはない。ウォン相場も1250ウォンと見積もっているようだが、6月以降は、アメリカの利上げにより防衛することは困難であろう。まあ、韓国が、アメリカを裏切って石油をロシアから輸入することを決めれば、貿易赤字は多少改善するかもね。

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